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Channel: T-960の記録
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ダミーヘッドの材質と技法

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ダミーヘッドの材質や技法について、色々と簡単に。
ダミーヘッドとは映画などの撮影用の人体模型の事です。



イメージ 1

これは私が作ったシリコンヘッドです。
等身大で中空、内側から支えるFRPのコア(核、中子、内コア)と型の隙間にシリコンを流して作ります。
制作にはフルスクラッチの原型を含め8時間×48日程時間がかかります。
撮影用なら植毛(パンチング)ではなくカツラを使用して時間短縮することが多いです。




イメージ 5

中に機械を仕込む場合は、一般的な縮合型シリコンではなく、より耐久性の高い付加型シリコンを使います。
付加型シリコンは縮合型の倍以上高価で、硬化不良を起こしやすいデリケートな材料です。
型の作り方から違ってきます。
(一応、シュワさんは本物、マツコロイドの技法です)




イメージ 2

ターミネータージェニシスのこのダミーは、シリコンを型に塗って発泡ウレタンを流し込んで作られました。
シリコンを流し込む場合より硬化の速いシリコンを使用します。
この技法の利点はシリコンの使用量が少ないのと制作時間の短さです。
安価に作るならこれですが、撮影用ならともかく、観賞用だと耐久性は疑問です。
発泡ウレタンの寿命がシリコンより短いので。


1/3など小さい物なら、針金の芯を入れる程度で無垢のシリコン流し込みで良さそうな気がします。
シネマケットは無垢だったと思います。
小さい物は中空にする手間の割に利点がありません。




イメージ 3

以前にヤフオクで入手したこれ、商品説明にはシリコンヘッドと書かれていましたが、ラバーヘッドでした。
ジェニシスのダミーと構造は同じで、型にラテックスを塗って発泡ウレタンで支えています。
非常に安価に出来ますが、天然ゴムなので耐久性は期待出来ません。
ラテックスと軟質ウレタンを使うので、ラテ軟と呼んでいます。
材質と塗装法の違いから、シリコン程の真実味はありません。




イメージ 4

T1、T2の撮影に使用されたダミーはフォームラバー製です。
耐久性がとても短く不透明な材質です。
現在は人物のダミーにはあまり使われませんが、安価なので日本では今でもクリーチャーなどの特殊メイクには使われています。




イメージ 6

これは私が作った透明レジン製のお面です。
透明レジン製は硬いので植毛は出来ませんが、カツラなど貼り毛(レーイング)で短時間で真実味のある物が作れます。
ミスターフリーズに氷漬けにされた人はこれです。


蝋人形についても多少知っていますが、耐久性の問題からやがては作られなくなると思います。


人物ではなく恐竜やクリーチャーなら、ウレタンスポンジに彫刻してシリコンでコーテイングする技法もあります。


それぞれの技法によりシリコンの種類も型の作り方も違います。





蛇足ながら

最近はメイドインチャイナの非常に安価なシリコンドールが出回っています。
等身大全身で10万円前後!

日本製の有名メーカーのシリコンドールだと全身で80万円、頭だけで10万円ぐらいですが、これは分業と大量生産(と安い賃金の労働者)で実現出来た価格です。
髪はカツラですし。
エロ目的ならではの大量生産、驚くほど量産されています。


プロの特殊造形屋が撮影用に作るシリコンダミーは150万円~です。
勿論業者によって上下しますが。(価格も、技術力も)


でもチャイナ製の全身の価格はいくら安価な労働力で大量生産したとしても不思議です。
日本ではシリコン代だけで10万円を超えると思います。
あちらには安いシリコンがあるのか?実はシリコンではないのか・・・?
シリコンは極薄い膜だけでほとんどウレタンスポンジなのか?
















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